青砥やくじん延命寺(葛飾区青戸8、TEL 03-3602-0496)で8月23日、「音楽の夕涼み~ジャズスタンダードやボサノバを中心に~」が開催された。主催はNPO法人「芸術文化ワークス」。
同企画は、葛飾区青砥やくじん延命寺劇場プロジェクト「ご近所で楽しむ音楽会シリーズ~演奏とお話」の第29回。雨上がりの16時、音楽会はスタートした。2歳から70代まで幅広い年代の観客およそ40人が集まった。本堂には真っ赤な毛せんが敷かれ、小林隆猛住職の紹介に続き、サクソホン奏者の藤田絢三さんとギタリスト・中鉢洋夫さんが登場。サクソホンとギターのアンサンブルが響き渡った。
曲目は、「サマータイム」「ナイト アンド デイ」「ムーンライト・セレナード」などのジャズのスタンダードなナンバーのほか、ボサノバの「イパネマの娘」、ディズニーの「星に願いを」など。全8曲が演奏された。演奏の合間には、「ジャズとはどういう音楽か」「生まれた背景」などのトークも展開。「サクソホンはベルギー生まれ。クラリネットやフルートを造る工場の息子が考案した楽器」「リコーダーと同じ指づかいで演奏できる」など、楽器の成り立ちや歴史、エピソードを披露。観客席からは感心の声が上がった。
途中、サプライズで、子どもたちがサクソホンを触わる場面も。藤田さんがサクソホンを吹き、子どもが指でキーを抑えた。体験した峯岸孝輔くん(小3)は「本当にリコーダーと同じだった。違うのは、サクソホンはスイッチのようになっているところ。触ってはいけないものだと思っていたので、うれしい」と笑顔で話した。
アンコールには、チャップリンの映画「モダン・タイムス」のテーマ曲「スマイル」を演奏。藤田さんは「ジャズに親しんでほしい。今はユーチューブなどもあり、それも楽しいけれど、ぜひ生の演奏を味わってほしい」と結んだ。
ジャズが大好きという野崎範子さんは「演奏者がリラックスしていて、こちらもくつろいで聴けた。この雰囲気はお寺ならでは。トークも面白かった」と振り返る。境内で3歳の息子と聴いていたという高森智香子さんは「木々の緑とセミの大コーラスの中で聴くボサノバは、まるで南国のようだった」とも。
演奏を終えて、ギターの中鉢さんは「お寺で演奏するのは初めて。響きがとても良かった」と話す。「緑がよく見えて、お客さまも楽しそうに聴いてくれて、とても気持ちよく演奏することができた」とも。サクソホンの藤田さんは「吹き抜ける風や、セミの声、自然に囲まれたロケーション、お寺ならではの空気感。とても演奏しやすかった。子どもたちにも、今日のことが記憶のどこかに残ってくれれば」と満足な様子。
主催者の同NPO鈴木英生さんは「サクソホンがこんなにお寺に合う楽器だとは。開放感のある面白い演奏会になった。今まではホールで演奏する音楽をブッキングしてきたが、これからは方針が変わるかもしれない」と手応えを感じていた。