葛飾区立鎌倉小学校(葛飾区鎌倉4)で2月23日、葛飾郷土と天文博物館の協力で今戸焼(いまどやき)の野焼きが行われた。今戸焼とは、東京の東部を中心に焼かれていた素焼きの陶磁器。
同校では、児童に葛飾の伝統文化に触れてほしいとの趣旨で、10年以上前から5・6年生の児童を対象とした、地元葛飾の伝統産業「今戸焼」作りを図工の授業に取り入れている。今年は6年生の生徒が製作した。
製作に使う粘土は、地元で採れた数種類の素材を混ぜ合わせて作った地元産の特製粘土。今回はおよそ3カ月乾燥させた作品を野焼きで焼き上げた。
同館の谷口栄さん指導の下、昨年11月11日、3時間の授業時間を使って児童たちが焼き物の形作りを行った。製作時の様子について、図工教諭の大屋美咲さんは「予想以上に粘土が硬かった事と、丸の表現にみんな苦戦していた」と振り返る。「6年生くらいだと図工が苦手な子もいるが、粘土は触って作る楽しさがあるので絵を描くのが苦手な子も楽しんでいた」と笑顔を見せる。
製作のテーマは「器として物が入るもの」だったが、中には「どうしても仮面が作りたい」という児童も。石仮面を製作した2人の児童の一人、岩渕颯人君は「せっかくだから作りたい物を作りたかった」と話し、「一緒に石仮面を作った友達は移動中に階段でこけて壊れちゃったけど、これはこれで破壊された後の仮面って事で納得している」とも。
野焼きは朝から昼までの半日をかけて行われ、途中「バンッ」という破裂音と共に作品が割れてしまう一幕も。
谷口さんは、じか火で仕上がっていく児童の作品を見つめながら、「焼き物はイメージを形にする想像力を育む良い教材。今戸焼を通じて葛飾の歴史も知ることができて一石二鳥」と話す。