葛飾区の公式サイトに4月1日から、兵庫県豊岡市のバナーが掲載されている。
兵庫県豊岡市は兵庫県の北部に位置し、2005年に城崎町など周辺5地域と合併し、県内最大の面積を有する市。市内には志賀直哉の小説「城の崎にて」の舞台となっている城崎地域のほか、キャンプ場やスキー場など観光施設が多い地域としても知られている。
さらに、国の天然記念物に指定されているコウノトリを保護・育成している地域としても知られている同市。野生のコウノトリは1971(昭和46)年に同地で観測されたのを最後に絶滅されたとしているが、それ以前の1965(昭和40)年に官民が一体となり人工飼育を開始。現在では、36羽のコウノトリを野外に放すことに成功し市内を飛んでいる。同市は「コウノトリも暮らすまち」をキャッチフレーズに、自然と環境を重視した「豊岡エコバレー」という環境都市を目指している。
同市秘書広報課の垣谷吉宣さんは「豊岡という地名は関西などでは有名だが、関東などではいまだに知名度が低い。今回は多く見られている自治体のサイトにバナーを掲載し、環境と共生している当市をアピールするのが目的」と話す。同市では大手ポータルサイトも検討したが、費用対効果の問題で政令指定都市の公共自治体のサイトに的を絞り、比較的安価で効果の見込める葛飾区を選定。4月からの3カ月の運用を行う。
同区公式サイトのトップページは、2009年度の月平均で21万7,000PV(ページビュー)あり、地元企業などの掲載依頼が多く、今年度も6月までは完売している。PV数だけでなく月間のバナー掲載費も2万円と安価なのも魅力。広告掲載を管理している広報課の入山さんは「適切な価格に設定しており、多くの顧客に支持を受けている。微力ながらも区の歳入を増やし、サービスに拡充していきたい」と話す。
今回の依頼に関して「通常の民間企業と同じ審査基準・価格でお願いしている。特別な配慮はしていない」(入山さん)としながらも、「自治体が自治体のバナー広告というのは今まで聞いた例がない。葛飾区としても豊岡市の活性化に協力できれば」と話す。
豊岡市は葛飾区だけでなく、5月から台東区でも3カ月のバナー掲載を開始。垣谷さんは「今後も効果があれば継続的に行っていきたい。バナーの絵にあるようにコウノトリの街が定着すれば」と広告効果に期待を寄せる。