テクノプラザかつしか(葛飾区青戸7)で7月5日、「葛飾区夏野菜品評会」が行われた。
52回目を迎える同品評会。会場には枝豆やナスなど野菜が32品目、全352点の野菜が展示され、都の農業振興事務所の職員や区民代表によって品評された。
今年の夏野菜に関して、JA東京スマイルの清水慶治郎さんは「今年は特にトマトのできは非常に良かったが、6月に上陸した台風の影響で小松菜などの葉物野菜に影響が出てしまったせいか、予想した成果を得られなかった」と話す。
品評員による審査の結果、8点の野菜が受賞した。中でも柴又5丁目で約900坪の農地を持つ農業・斉藤幸雄(34)さんのトマトが葛飾区農業委員会会長賞を受賞した。
斉藤さんは実家の農業を継いで今年で10年目。農家になる前はサーファーで、神奈川県でサーフィン用ウエットスーツの企画販売に携わっていた。就農について、「屋外で仕事をしたかった。ウエットスーツも農業も大きく考えれば同じものづくり」という。トマトの栽培は4年目で、受賞したトマトはハウス栽培で作られている。
今回の受賞を受けて、「とてもうれしく、評価されたことでモチベーションも上がる」と斉藤さん。都心から近い場所で農業を営む点については、「地方は圧倒的に農地が広く収穫量も多いが、都心では直接スーパーなどの商店に卸すなど、より消費者の近くで農業ができ、新鮮なものをすぐに食べてもらえるのがいい」と、都市農業の利点について話す。
近年では農業従事者の減少や世代交代が問題視されているが、「自分はあまり危機感を感じていない。むしろ、もぎたての野菜の味を子どもがおいしいと感じることが大事なのでは」と野菜と向き合う姿勢をうかがわせる。
同品評会では授賞式後に展示即売会も行われた。16時半から開始される即売会には40人以上の参加者が列を作った。1番手で並んだ青戸在住の80歳主婦は「8年前からこの即売会に通っている。八百屋の野菜と全く異なり本当においしいので、足立区と板橋区に住んでいる子どもたち家族に明日持って行きたい」と笑顔で話していた。