かめありリリオホール(葛飾区亀有3)で3月17日、震災復興支援を目的とした創作バレエ「曼荼羅(まんだら)」が上演された。主催はバレエグループわたぼうし。
結成当初から環境問題や社会問題をテーマに公演を行っている同グループ。今回、「東日本大地震や原発問題を経て、人間の弱さや文明の発達とともに見失われているものがある」と考え、同公演を企画した。
今回は、わたぼうしを中心とする数団体のバレエグループが集まり、10歳から62歳までのセミプロ、プロのダンサーが出演。スポンサーを取らず、各グループからの出資で公演を賄い、パンフレットの収益金は全額被災地へ寄付する。
舞台の内容は、戦争で命を落とした武者が生まれ変わり、罪を悔い改めるため東西南北へ修行に出るというもの。1幕で現世を、2幕では神の世界を創り出す。和の題材をクラシックバレエで表現し、観客にメッセージを伝えるという。
当日舞台を鑑賞した四つ木在住の山井早苗さんは「言葉が無くても踊りだけでストーリーが分かり、表現の素晴らしさを感じた。震災で亡くなった人の魂をおだやかに送っているのでは」と感想を述べた。
同プロジェクト代表で、振り付けを担当した田中聡子さんは「物質にとらわれず、今の私たちが忘れかけている人間の真の『豊さ』を感じながら生きること。そんな思いを伝えられたのでは」と公演を振り返る。