東京拘置所(葛飾区小菅1)で「東京拘置所矯正展」が9月8日、開催された。
同拘置所は1997年から開始された改修工事が今年3月に完了。大幅な改修工事を経て、現在は地上12階、地下2階の国内最大の収容数となる拘置所に。また、今回の改修工事で最大約6メートルあった塀が取り払われ、いわゆる「娑婆との境目」がなくなった形となる。
同イベントは、地域にも親しみやすい拘置所として開放されたもの。同所では初となるイベントは、地域自治会の模擬店やブラスバンドコンサート、各刑務所で作業された作品などが即売展示された。
9時30分になると、周辺の葛飾・足立両区長、自治会会長や、同所所長のほか、シンガーソングライターの松山千春さんがテープカットのセレモニーを行った。
松山さんはテープカットセレモニーの挨拶で自身の代表曲である「空と大地の中で」を披露。来場者からは大きな歓声が湧き上がった。神奈川県から来た松山さんファンの男性は「朝5時から松山さん目当てで来たが、施設を見てびっくりした。拘置所がこんなに近代的になっているとは知らなかった」と話す。
また会場では拘置所の収容者に配られる食事のレシピを再現した「プリズン弁当」(350円)が販売された。弁当は米3・麦7の割合の飯と、豚の味噌焼きに切り干し大根、漬物とシンプルなもの。弁当を製作した担当者は「レシピを預かった時に、とてもヘルシーな構成になっていると感じた」と話し、当初予定していた300食はすぐ完売し、追加で500食を作成したが、お昼すぎには全て完売した。
弁当を購入した葛飾区内在住の40代の男性は「イメージよりもおいしそう。行列した甲斐があった」と話す。また実際に食べた30代の女性は「テレビや映画などで『クサい飯』というイメージがあったが、全然違う。ご飯もしっかりしていて、豚の味も十分している」と満足な表情で話した。
拘置所の関係者は「今回のイベントは、塀が取り払われた新しい拘置所のお披露目として一般市民との交流を持つのが目的。今後も同様のイベントを通して、地域との連携を図って行きたい」とも。