葛飾区は4月8日から、緊急避難先として指定した区内の建物に目印の絵文字(ピクトグラム)の設置を始めた。
区は周囲を荒川・江戸川・中川・綾瀬川の4つの川に囲まれた低地。高度経済成長期に地下水の過剰なくみ上げが行われたことが原因で地盤沈下し、区のおよそ半分は東京湾の海面よりも低い「海抜ゼロメートル地帯」にある。そのため総雨量548ミリメートル以上の大雨により堤防が決壊した場合、大規模な浸水被害が予想されている。
防災課は2006年以降、区民の防災意識を高める目的で「洪水ハザードマップ」を配布。荒川下流域での堤防決壊を想定した「浸水想定区域図」を基に作成され、浸水するエリアや深さ、避難所等を確認できる。
2013年には、同地図に記された水没しない建物249カ所を「洪水緊急避難建物」に指定。今回、同対象建物が一目で分かる目印としてピクトグラムを設置した。絵文字は縦30センチ・横21センチで、人が高い建物に逃げる様子が描かれている。
防災課の笠倉英司さんは「現在、避難先として指定しているのは小中学校や図書館など公共施設が中心。順次民間の施設も指定し、避難先を増やす予定」と話し、「万が一のときに区民が自分の命を守れるよう、この絵文字の周知を図っていきたい」とも。
対象施設へのピクトグラム設置は夏までに終了予定。