葛飾の羽子板製造店、浅草寺「羽子板市」に向け出荷大詰め

大ぶりな羽子板を持つ南川さん(左)と新田さん。どれも2人の手によって制作されている

大ぶりな羽子板を持つ南川さん(左)と新田さん。どれも2人の手によって制作されている

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12月17日から浅草寺(台東区)境内で行われる羽子板市に向け、羽子板製造店「南川人形店」(葛飾区高砂3、TEL 3657-3975)では出荷作業に追われている。

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 同店は戦前から続く、ひな人形・羽子板を中心とした製造を行っている。毎年この時期になると多くの羽子板を製造し、出荷の準備を行う。現在は週末に控えた羽子板市に向け、箱入れの作業を行っており、出荷数について3代目店主の南川美子さんは「正確な数は把握してないが、毎年トラック2台分の羽子板を運ぶ」と話す。

 最盛期には職人など10人以上が在籍していた同店。現在は職人の高齢化や人形の需要の低下などで従業員数も減少。先代店主で美子さんの夫である南川行男さんが2009年10月に他界し、現在は南川さんと製造を担当する新田三千恵さんの女性2人が中心となって製造している。「主人が一生懸命やってきたもので、自分たちで絶やすわけにいかない。続けなければいけない責任感もあり、現在も女2人で製造を続けている」(美子さん)という。

 新田さんは、33年前に駅前の求人で応募してきたパート従業員。「30年以上先代と一緒に仕事をしてきて製造のノウハウを受け継いだ。手取り足取り学ぶのではなく、先代の動きを見て経験を重ねた。30年以上働き続けられるは何よりも職場の人間関係。伝統産業と言っても地味で細かい作業が多い。それでも毎年羽子板を買ってくれる人がいる限り仕事はやめられない」と話す。「仕事の形態や給与ではなく、ここでは仕事のやりがいと多くの楽しみをもらっている。それが仕事の醍醐味(だいごみ)」とも。

 ひな人形や羽子板製造のほか、5月~6月には修学旅行生などを対象に体験教室も開いている。「仕事を知ってもらうことで伝統産業を若い人たちに理解してもらいたい。今後は若い世代にも仕事の楽しさを伝えていけるようになりたい」と南川さん。

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