日本では25年ぶりとなる金環日食を迎えた5月21日、葛飾区でも金環日食が観測された。
前日まで曇りの予報だった東京地方。当日の6時前には雲があるものの、青空をのぞかせる天気となり、東京では173年ぶりの金環日食の観測に、多くの人が期待を寄せた。
葛飾区郷土と天文の博物館(葛飾区白鳥3)では、屋上と天文展示室による観測会を開催。同館学芸員の新井達之さんは「3月から特別プログラムを上映していたが、5月から人気が高まり倍の上映数に。今回のイベントも50人の定員に対して10倍の500人以上の応募があった。中には北海道から応募した人もいるほど、注目が集まった」と話す。
イベント開始の6時30分前、同館前には早くも当選者たちが集まりにぎやかな雰囲気に。中には当選できなかったが当日キャンセルを見込んで訪れた人の姿も見られた。当選者たちは館内でオリエンテーションを受けて、館内の天文展示室へ。展示室内で投影されている太陽望遠鏡が映し出す日食を見て歓声を上げた。
金環日食となった7時32分ごろ、屋上では多くの来場者が同館から配布された日食グラスでその瞬間を観察し、リングとなった瞬間に拍手が起こった。葛飾区在住の会社員、竹元太一さんは家族4人で観察に立ち会い「天気が心配だったが雲も厚くなく、日食を見ることができた。神秘的でとても貴重な体験をした」と話した。
同館ボランティアスタッフの町長香織さんは「多くの人が集まってくれ、当日の感動、喜びも膨らんだ。とても不思議な体験ができた」と感想を話す。
「次回東京で見られる金環日食は300年後ということで、多くの人が一生に一度の貴重な体験をしたと思う。6月6日には、金星が太陽を通過するイベントがあり、館内の太陽望遠鏡で観察できる。今回を機会に宇宙や天体に興味を持ってくれれば」(新井さん)とも。