柴又の葛飾区観光文化センター(葛飾区柴又6)で1月27日、葛飾区観光フィルムコミッション主催の「ロケーション支援セミナー」が行われ地域住民など約30人が参加した。
同フィルムコミッションは一般社団法人葛飾区観光協会が総合窓口として2012年10月に設立。映像製作会社へロケ地情報の提供やロケハンの協力を行いながら、区内でのロケ誘致を呼び掛けている。
担当の尾上由野さんは「ロケを誘致するには、ロケ地情報をいかに集めデータ化しているかが重要。そのため情報を提供してくれる地域住民との連携が欠かせない。今回のセミナーを足掛かりに区内の支援者を増やしていきたい」と話す。寄せられるロケ地の問い合わせは、「下町の雰囲気」「昭和の街並み」などレトロなイメージが多いという。
当日は、台東区フィルム・コミッションの平田大輔さんと葛飾区在住の映画監督・神田裕司さんを講師として招き、葛飾区側や参加者と意見交換を行った。
平田さんは、上野のアメヤ横丁で昨年撮影されたNHKドラマ「あまちゃん」を例に地元商店街への経済効果に触れ、「映画やドラマ、CMで金額は異なるが経済効果は確実にある」と話す。台東区で事業を行ってきた9年間の経験を踏まえ、「まだ撮影に使われていない場所や建物が撮影サイドから好まれ、移動の手間や時間を考えると狭い範囲に複数のロケ地があるのが理想」と語り、「台東区ではカバーしきれない撮影場所を葛飾区と連携できれば」と続けた。
神田さんも「各地にフィルムコミッションができてロケハンが便利になってきている。映画に携わりたい人はたくさんいる。地元の人には、ロケ地の情報提供のほか、エキストラやスタッフの手伝いにも参加しやすい流れになれば」と、今後の支援の広がりに期待を寄せた。
質疑応答で、平田さんは「ロケ地に使われれば知名度が上がり地域の活性化も期待できるが、撮影を受け入れるには大変な労力と時間が掛かる。地域住民の生活に支障を来さないよう、製作会社と決め事をきちんとしておくことが大切」と同フィルムコミッションにアドバイスする。
セミナーに参加した区内在住の20代女性は「映画やドラマの撮影が街の経済効果に影響を及ぼすなど大変興味が湧いた。これから自分の住む街を見る目が変わる」と感想を話していた。