葛飾総合高等学校(葛飾区南水元4)で6月24日、紙媒体と動画や音声を連動させるメディアミックスの入学案内制作のプレゼンが行われた。
「コンテンツクリエイション」は、同校で今年初めて創設された選択科目。コンピューターを利用し、作品制作の楽しさを実践的に学ぶことができる。
入学案内は、未来の生徒である中学3年生に向けて、生徒自身の手で同校の魅力を伝えることを目的に、企画制作はもちろん、進行管理も生徒が行う。8ページの蛇腹のパンフレットと、ウェブ上に設置した動画や音声などのコンテンツをQRコードで連動させ、多次元的に学校の魅力を紹介する。
制作は18人の生徒が「紙」「静止画」「動画」「音声」の4つのチームに分かれ作業を分担。紙チームは、編集ソフト「イラストレーター」などを駆使しパンフレットを作成する。静止画チームは、校内の施設や授業風景などを撮影・加工し、他のチームへ提供。動画チームは、独自のマスコットキャラクターが部活を体験する様子を撮影し、音楽や字幕を付けて編集する。音声チームは、軽音部や吹奏学部、ボイスパーカッションが得意な生徒の音声を収録。
同科目の特別講師は、区内で紙箱などを製作・販売する高田紙器製作所(堀切3)を経営する高田照和さん。8年前から同校と交流が続く「かつしか異業種交流会」の産学連携委員として作品制作を指導する。同日は成果物のプレゼンが行われ、他チームや高田さんから改善点が伝えられた。完成した入学案内パンフレットは、9月に行われる同校の文化祭「葛希祭」で200部配布する予定。
この取り組みについて高田さんは「自主的によく頑張り、皆が協力しながら一つのものを作ろうとする高い意欲が感じられる」と生徒の努力を評価。現在配布されている入学案内については、「堅実だが親しみを感じにくい印象。今回は試験的に生徒が作った学校案内を文化祭で配布するが、これが好評であれば学校側が入学案内を見直すきかっけになるかもしれない」と期待する。
同科の担当教諭の須藤祥代さんは、「この授業は与えられるのを待つのではなく、自分で考えたことを実践し、多くを体験しながら学べるという面白さがある。生徒たちのクリエーティビティーを引き出すことに成功しているのではないか」と話す。
授業で進行管理を担当する菅野灯さんは「高田さんの前でプレゼンすることで、今まで個別に作業してきたパンフレットの全体像が見えてきた。話し合って完成に近づけたい」と意欲を見せる。「私は全体を取りまとめる役割だが、とても楽しい。ディレクターの適性があるかもしれない」とも。