帝釈天(たいしゃくてん)題経寺(柴又帝釈天、葛飾区柴又7)で2月3日、「節分会豆撒式」が行われた。
地元商店街「柴又神明会」の青年が、帝釈天の使いとされる神猿(かみざる)と災害をもたらす赤鬼、疫病をもたらす青鬼に扮し、裃(かみしも)を着けた来賓や年男・年女とともに参道を練り歩き境内へ入った。鬼が金棒を振り上げて近づくと、その恐ろしい出で立ちに驚いて泣き出す子も。
特設舞台では、60年以上前に歌舞伎役者によって台本が作られたと伝えられる「節分問答(もんどう)」が寸劇仕立てで披露された。鬼たちが「帝釈天の猿は恐ろしや」と神猿に追い返されると一斉に豆まきが始まった。
同神事は、有名人も参加する同寺の恒例行事としても知られ、地元住民と観光客も加わり、毎年多くの参拝客が詰めかける。今年は、警視庁シンボルマスコット「ピーポくん」と、東京消防庁マスコット「キュータくん」が振り込め詐欺防止を呼び掛けた。
芸人アスリートとして活躍する猫ひろしさんや、角界からは臥牙丸勝(ががまるまさる)関、常幸龍貴之(じょうこうりゅうたかゆき)関、徳勝龍誠(とくしょうりゅうまこと)関なども参加し、豆が入った福袋を豪快に振りまいた。
まかれた福豆には当たりの物も。袋に書かれた参道の店で賞品がもらえる。幸運をつかんだ五味康さん(68)は「初めて参加して、目の前に飛んできたのがたまたま当たりだった。今年も健康に過ごせるように」と突然の降って来たご利益を喜んだ。
古川祥子さん(77)は「まだ一度も当たりをつかんだことがないけれど、いくつ福豆がもらえるか毎年楽しみにしている。今回はまだ7袋だけなので、2回目はもっと前の方に行くよ」と二番まきに期待する。
老若男女入り交じって盛大に福豆の争奪戦が行われる中、惜しくももらえなかった人に、ほかの参加者が福を分け合う姿も見られ、互いに喜びを分かち合った。