「中川護岸耐震補強工事」を施工する大豊・西武・古川建設共同企業体(葛飾区東立石4)が4月18日、「中川工事見学会」を実施した。
船で中川を巡りながら、工事の説明を受ける同会。定員10人を大幅に超える応募があり、参加者は計51人と犬5匹。午前、午後の2部制で行われた。
当日は、中川沿いの「東立石緑地公園船着き場(葛飾区立石4)から船に乗り込み、ヘルメットに作業着姿の現場作業員たちが笑顔で受け付けを行った。参加者は「思った以上に揺れている」と話した。出航後、上平井橋(西新小岩5)まで行く予定だったが、潮位が高いため平和橋(東新小岩8)でUターン。本奥戸橋(立石8)を通過して奥戸橋(奥戸7)まで行き、出発地点に戻った。
船の中では、同団体中川護岸(6)作業所の現場代理人の三好浩司さんが、中川の水害の歴史を説明した。また、工事の目的が1960~70年代に造られた護岸の「液状化を防ぐため」であること、そのために行っている「耐震補強と川底の地盤改良の工事」について、イラストパネルを用いて説明。その後、液状化をより具体的に伝えるために、実験装置を使い、振動によって地面に水分が上昇してくる様子や、土の上に立てられた建物が倒れ、マンホールが浮いてくる現象を見せた。
船が進むと、現在工事中の箇所、すでに完了したコンクリートの護岸、未着工の古い護岸が見え、「工事後に川がどのように変化するのかよく分かった」と参加者。船の屋上にも上り、「気持ちいい」と吹き抜ける川風を味わった。
参加者には「中川わんこの輪」のメンバーも多かった。中川沿いを散歩する犬を写真に撮って掲示する「中川わんこの輪」は、現在183匹。現場作業員との交流も続いているという。船には、犬用のトイレ、おやつも用意された。
参加した加納秀一さんは、「工事自体、本当に必要なのかと思っていたが、説明を聞いて、よく理解できた。川の下にコンクリートを流すなんてすごい。何より、作業している人たちに会えてよかった。丁寧で信頼できる」と、感心した様子。
中川沿いに住んでいる西村佳津子さんは、「毎日、工事の進行状況を目の当たりにして来た。工事の人たちは、寒い時期も朝6時から仕事していて、本当に頭が下がる。1947(昭和22)年のカスリーン台風による水害も経験しているので、川の危機感は生活の中で日々感じている。説明を聞いて、作業が大変なのも仕方ないと思った。理解を深める機会を設けてくれたことが素晴らしい」と語った。
三好さんは「みんな、工事について興味を持ってくれていた。工事の目的や、目には見えない大切な川底の工事内容などを伝えることができてよかった。これからも、安全な護岸を造るために頑張りたい」と満足そうな表情を浮かべた。