葛飾区堀切のカフェaire ameno(堀切4)で4月17日、紛争に翻弄(ほんろう)されたシリア人に焦点を当てた映画2作品の同時上映会が開催された。
会場でおこなったシリアの写真展示「みんなでつくるシリア展」の様子
上映された作品は、2015年に公開された「それでも僕は帰る」と、2015年国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)難民映画祭の上映作品「目を閉じれば、いつもそこに~故郷・私の愛したシリア~」の2作品。
同イベントは、葛飾区出身で現在もシリア支援団体「サダーカ」に所属し国内外で活動する斉藤亮平さんがキネマ・カツシカという団体を結成し、関係者の協力を得て実現した。
公開終了後も自主上映会などで上映されているが、2作品が同時に上映されるのは今回が初めて。それぞれ、同じシリアを扱っていても内容は異なる作品。「両方を見ることで、色んな視点でシリアを考えていける。それを多くの方と共有したい」(斉藤さん)との思いから開催された。
上映後には、「それでも僕は帰る」を配給したユナイテッドピープル社のアーヤ藍さん、「目を閉じれば、いつもそこに」の監督藤井沙織さん、シリアとヨルダンの取材経験があるフォトジャーナリストの安田菜津紀さんの3人によるゲストトークが行われた。シリアに関わることになったきっかけや映画にまつわるエピソードなどを中心に話が弾んだ。
藤井さんからは、映画を撮ろうと思った理由や映画に出てきた人物たちとのその後の交流について語られ、最後は、「日本にいながら私たちにできることとは何か」について3人が一言ずつ話して締めくくられた。
「私たちには想像力という力がある。人災と天災の違いはあるけれども、突然、故郷が故郷でなくなってしまった痛みは想像できるはず」と安田菜津紀さん。アーヤ藍さんは「一緒に明るい未来を考えること。一人一人が知っていることは小さくても会場にいる人同士、横につながっていくことで広がることもある」と今回の参加者に向けて話した。
斉藤さんは「僕にとって第二の故郷であるシリアのことを地元葛飾の人たちと一緒に考えるいい機会になった。それぞれが「故郷」や「大切な場所」のことを思い、そこから何か行動につなげられれば」と振り返った。