食べる 暮らす・働く 学ぶ・知る

過去に「ブラタモリ」にも出演 学芸員の谷口榮さんが「千ベロ」講演会

著書を手にする谷口榮さん

著書を手にする谷口榮さん

  • 9

  •  

 立石図書館(葛飾区立石1)が7月10日、開館10周年を記念して葛飾区の学芸員・谷口榮さんによる講演会「立石地域の飲食文化『千ベロ』」を開いた。

「千ベロ」講演会の様子

[広告]

 谷口さんは生まれも育ちも立石。考古学者であり日本考古学協会理事。長年、葛飾区観光課の学芸員を務めており、葛飾の歴史と文化を研究している。過去にNHKの番組「ブラタモリ」で、タモリさんと柴又を散策したこともある。小学生のころからもつ焼きに親しんでいることから、酒場への造詣も深く、今年3月には「千ベロの聖地『立石』物語」(新泉社)を出版している。

 「千ベロ」とは1,000円で酔うほど手軽に飲める酒場の俗称。京成立石駅周辺には名店と言われるもつ焼き店があり、昭和の面影を残す路地裏には個性的な店が軒を連ねていることから、酒場愛好家の間では「千ベロの聖地」とも呼ばれている。

 立石の飲食文化について、谷口さんは「もつ料理とハイボールはセット関係で、この組み合わせが特徴の全て。立石など下町で『ボール』といえば焼酎ハイボールのこと」と話す。立石に千ベロ文化が根付いた背景には、大手製薬工場と職業安定所の中心に京成立石駅があり、労働者が集う立地だったことを挙げた。

 立石を代表するもつ焼き店「宇ち多゛(うちだ)」「江戸っ子」「みつわ」を紹介し、「私は飲みに行って調査し、記録し、分析している」と話す。考古学の観点から、焼台や店の造り、食器類まで細かく調査しており、食器類についてはデザインやサイズまで記録している。

 「考古学というと昔の遺跡などを発掘し年代を調べることを思い浮かべるが、現代のものを未来の人に伝えるという考えもある。例えば将来、このもつ焼き店が無くなり、何百年後に食器が発掘されたとき、食器のデータを記録しておけば、これは当時の『宇ち多゛』という店があったところ。といった情報を後世に残すことができる」と話す。

 コロナ禍の飲食について、「元々もつ焼き屋は長居するところではない。さっと飲んでさっと帰ることを心掛け、お客さん自身が気をつけることが大切」と思いを話す。

葛経ラジオ
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース