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葛飾・堀切の老舗江戸切子工房に30年ぶりの新入社員 一人前の職人として活躍したい

新入社員の矢野瑞季さん

新入社員の矢野瑞季さん

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 江戸切子やカットガラスの加工・販売を手掛ける「清水硝子」(葛飾区堀切4)が今年7月、正社員として新入社員を雇用した。

「清水硝子」先輩から指導を受ける矢野さん

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 同社は1923(大正12)年創業。当初は特殊ガラスの加工などを手掛け、戦後、保谷硝子(現在のHOYA)との取引を始め、海外販売向けの高級ガラスやクリスタルを製造。最盛期の昭和30年代には45人ほどの職人・従業員がカットガラス製造に従事した。

 現在は職人の高度な技術を用いて、日本の伝統工芸「江戸切子」の製造も行っている。同社が手掛ける製品は大手クライアントの製品だけでなく、東京スカイツリー(墨田区)のエレベーターの内装にも同社の江戸切子が使われるなど、さまざまなジャンルとのコラボにも取り組む。

 現在は3代目社長の清水三千代さんの下、7人の職人が製造に携わっており、同社を支えている。新卒採用したのは1990(平成2)年以来、およそ30年ぶりとなる。

 今回入社したのは矢野瑞季さん。愛媛県伊予市出身で、現在20歳。高校卒業後に専門学校を経て今年4月、入社した。

 矢野さんは幼少期から工芸のジャンルに興味があり、高校もセラミッククラフトコースのある学校へ進学。高校在学中に江戸切子などのカットガラスの分野に触れ、仕事にしたいと考えたという。高校卒業直後に弟子入りも考えたが、ガラス工芸全般を学ぶために東京ガラス工芸研究所(大田区)に進学。さまざまなガラス工芸を学んだが、カットガラスへの情熱は衰えなかった。

 カットガラスの魅力について、矢野さんは「日常的に使うアイテムが、カットガラスの技術によって非日常を演出する製品になる。毎日の暮らしを彩る美しさがあり、その技術を習得したいと思うようになった」と熱く話す。

 矢野さんは研究所の教諭経由で、当時社員を募集していた清水硝子に入社。現在は3カ月の試用期間を終え、簡単なカット作業などの一部を担うようになった。

 矢野さんは今の働く環境を「好きなことを一日中仕事としてやれてとてもうれしい。仕事がこんなに楽しくていいのかと、時に疑うほど」とほほ笑む。

 今後も同社で修業を続け、5~7年後に一人前の職人を目指す。矢野さんは「先輩から仕事の指導も受け、とても勉強になり目標にもなる。早く一人前の職人として活躍したい」と前を向く。

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