柴又にある「山本亭」(葛飾区柴又7)が11月26日から、開館30周年記念イベントを開催している。
山本亭は、大正末期に建てられた趣のある書院造りに西洋建築を取り入れた、和洋折衷の建築物。カメラ部品工場を営む山本栄之助の住居として建てられたという。
敷地内には当時、防空壕(ごう)として扱われていた場所があるなど歴史を感じさせる。純和風の庭園はアメリカの日本庭園雑誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」で常に上位にランクインしており、庭園を眺めに国内はもとより多くの外国人観光客が訪れているほか、東京都選定歴史的建造物として葛飾区の登録有形文化財にも指定されている。
建物は山本家が引っ越しを機に手放し、1988(昭和63)年に葛飾区の所有となり、1991(平成3)年4月に一般公開された。正式に統計を始めた1996(平成8)年から延べ180万人が訪れているという。
建物の統括責任者である横山秀一郎さんは「近年は広報やイベントにも力を入れていて、お茶会や和楽器の鑑賞会なども盛んになってきた。TBSドラマ『俺の家の話』をはじめ、映画やドラマでも多く使われるようになり、若い来場者が増えている」と話す。
開館30周年イベントは、本来4月に開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染症を考慮して11月に延期。現在はオリジナルポストカードを来場者に配付しているが、「当初3000枚の配付予定だったが、人気のため、現在増刷している」と話す。
今回は特別に夜間に開館し、12月11日・17日・18日の3日間、予約制でライトアップツアーも行う。クラシックギターの演奏の鑑賞会など、通常行わない体験を提供し楽しんでもらうという。
横山さんは「このイベントをきっかけに、若い層や家族層などに来場してもらえれば。夜間ライトアップが好評であれば、今後、夜の演奏会や夜のお茶会などイベントを開いていきたい」と意欲を見せる。