足立区内の給食の献立をレシピ本にした「東京・足立区の給食室」が7月25日に発売され、区内を中心に売れ行きを伸ばしている。
同書は足立区教育委員会おいしい給食担当の協力の下、実際に給食に出た献立を基にレシピ化したもの。季節に合わせて80種類以上のレシピを掲載している。同書は足立区の給食の献立28セット・単品48種類を掲載。献立は「650キロカロリー以下・塩分3グラム以下」「12栄養素の摂取」「1人あたりの素材費300円以下」という、実際の管理栄養士の作成するレシピと同様に作成した。
同書を企画したアース・スターエンターテイメント(東京都渋谷区)制作部の中島大輔さんは「近年は栄養価の高い健康志向の食事などが注目を集め、単品だけでなく献立のバランスが注視されている。最高の栄養バランスの献立を考えたときに学校給食を思いつき、学校給食を調べていくうちに足立区の『おいしい給食担当』を知ることとなった」と振り返る。
足立区では2008年から教育委員会内に「おいしい給食担当」を設置。同担当係長の塚原邦夫さんは「転入してきた生徒の保護者から『給食がおいしくない』という相談があった。食べ残し率が高く、栄養価を考えた給食でも摂取しないと意味がない。その意味を込めて4年前から献立だけでなく食育をテーマに授業などを通して活動をする部署が設立された」と話す。
おいしい給食担当の取り組みが実を結び、「食べ残し率も大幅に減った。管理栄養士たちとの取り組みのおかげ」」(塚原さん)とも。
その取り組みなどを見た中島さんが同担当に打診。通常のレシピ本であれば2~3カ月ほどで完成するが、「塩分やバランス、ドレッシングやご飯のカロリー・栄養素まできちんと計算されている。その計算の検証に時間がかかった」と話す通り、通常の倍にあたる半年の編集・製作期間を費やした。
出版後、足立区を中心とする住民から本の問い合わせがあり、テレビやラジオでも同書を紹介する動きがあり、「当初8000部という若干強気の設定ながら、現在は増販も視野に入れるほどの人気」(同社営業部・木村麗子さん)と反響は上々。「自分たちの事業が多くの人たちに知られてうれしい」と喜びを見せる。
同書について、「今の子どもたちがどんな食生活をしているのか、その会話のきっかけになってくれれば」と中島さん。
価格は1,260円。全国の書店で販売されている。