葛飾区郷土と天文の博物館(葛飾区白鳥3)で5月26日より、企画展「平櫛田中(ひらくしでんちゅう)とかつしか」が開催される。展示協力は葛飾平櫛田中研究会。
平櫛田中(1872~1979)は日本を代表する彫刻家。1944(昭和19)年に東京芸術大学(台東区)の前身・東京美術学校の教授となり、同大を創立した岡倉天心像を制作。現在でも同構内に安置されている。制作に20年を費やし1958(昭和33)年に完成させた代表作「鏡獅子」は現在でも国立劇場(千代田区)に展示されている。1962(昭和37)年には文化勲章を受章し、多くの作品を残した後、1979(昭和54)年に107年の生涯を閉じた。
同展は、平櫛が1939(昭和14)年に本田宝木塚町(現・宝町2丁目)にアトリエを構え、同アトリエで「鏡獅子」も制作されたことから企画。同館調査員の五十嵐聡江さんは「近代彫刻の巨匠がこの葛飾にアトリエを構えていたことを区民にあまり知られていないので、この企画展を通してもっと広めたい」と話す。
内容は平櫛の彫刻作品約20点をはじめ、書や手紙、写真などを展示。葛飾平櫛田中研究会の協力の下、写真から図面を描き起こした葛飾のアトリエも一部再現し、模型も展示する。
併せて、関連イベントも開催。小平市平櫛田中彫刻美術館(小平市)の館長で、平櫛田中の孫にあたる平櫛弘子さんによる記念講演会や、区内外の平櫛の足跡を訪ねるツアーなども予定する。
「区内には美術を展示する機会も少ないので、これを機に本物の芸術が育まれた葛飾のことを区民にもっと認知してほしい。博物館なので、今後も歴史的な切り口から葛飾にこだわり、さまざまな展示を行いたい」と五十嵐さん。