寅さん記念館(葛飾区柴又、TEL 03-3657-3455)で11月8日、来館者数400万人達成の記念式典が開催された。
柴又が舞台の映画「男はつらいよ」の魅力を伝える同館は1997年設立。今年で17年を迎える。同映画の主人公「車寅次郎」(寅さん)のファンが区内外から年間16万人ほどが訪れ、今年10月29日に通算来館者400万人突破を記録した。
式典には、400万人目の来館者となった練馬区在住の青柳健司さん(67)をはじめ、同映画の監督・山田洋次さん(83)、同映画で柴又帝釈天・題経寺の寺男・源吉役を演じた役者の佐藤蛾次郎さん(70)など、映画関係者、来賓客、地元の人など約100人が集まった。
青柳さんには、青木克徳葛飾区長から認定証、山田監督から花束が贈呈された。同映画のファンという青柳さんは「(400万人目になったことに)びっくりしながらも喜んでいる」と率直な感想を話し、「これからも日本一、豊かな自然と、人々の温かい心が感じられる映画を撮ってほしい」と山田監督に思いを伝えた。
式典後は、同館に併設する「山田洋次ミュージアム」入り口に設置した山田監督の胸像除幕式が行われた。彫刻家の宮瀬富之さん(73)が制作した胸像は山田監督が購入し、区に寄贈したもの。
除幕序幕山田監督、佐藤さん、宮瀬さん、青木区長の4人で行い、胸像を見た山田監督は「気恥ずかしい」と笑みを浮かべながら、「この胸像は宮瀬さんの作品として見て、宮瀬さんの世界を知ってほしい」と労をねぎらった。
胸像はブロンズ製。等身大より一回り大きいサイズで作られている。制作期間は約1年半。宮瀬さんは「山田監督の内面性を出したい」と試行錯誤し、左から見ると厳しい表情、右から見るとほほ笑んでいる表情に見える工夫を施したという。台座には「想いよ遥か」と記されており、「山田監督の思いははるかかなたに続いていく」という宮瀬さんの期待と希望が込められている。
山田監督は来館者に向けて、同映画が下町の古き良き姿や人情が描いている点を踏まえ、「映画が終了して長年たつが、施設は時代に合わせてリニューアルしていく。記念館に訪れて下町の人の暮らしを感じ取ってほしい」と力を込める。