水元にある南蔵院(葛飾区東水元2)で12月31日深夜、「しばられ地蔵尊」の「縄とき供養」が行われた。
同地蔵尊は、江戸中期、「荷物の盗難を黙認した」との罪で、縄でグルグル巻きにされた、大岡越前守忠相の名裁きでも有名。以来、願掛け時に縄で縛るという風習が生まれ、現在、通常は地蔵尊の姿が黙認できないほどの縄が巻かれている。
同神事は、新年を迎えるにあたり、毎年、大晦日の23時からおよそ1時間だけ縄を解(と)かれ、地蔵尊の本来の姿を拝顔することができるもの。解(と)かれた大量の縄はご住職によってご供養される。
同日は、普段は見ることができない、地蔵尊の縄が解(と)かれた姿を見るため、深夜にも関わらず、小さな子どもを連れた家族の姿もあった。参拝客は一様に、地蔵尊が新しい帽子と前掛けに着替え終わった姿を見てうれしそうな表情を浮かべた。除夜の鐘が鳴り響きはじめた頃には、参拝客の縄かけがはじまり、約1時間で地蔵尊の姿は縄で見えなくなった。
同神事にあたり、雅楽の演奏や振る舞い酒も。また「あらゆる願いごとを結ぶ」といわれる「結びだるま市」や、「除夜の鐘つき」も行われており、一年の終わりと始まりを迎える人で境内は賑わいを見せた。