葛飾区立石で3月26日、立石らしいまちづくりとは何かを「アート」の視点で考える参加型のイベント「アート×コミュニティ タテイシデザイン」が行われた。主催は、葛飾区の市民団体が集まって2015年に発足した「かつしか市民活動ネットワーク」。
同イベントは、2部制で計36人が参加。第1部は、参加者が京成立石駅周辺を散策する「まち歩き」。第2部は具体的な話を膨らませていく「交流会」を行った。
「まち歩き」では、テレビ番組「ブラタモリ」をもじった「ブラタテイシ」という造語を合言葉に、ぶらぶらと歩く中で街の雰囲気や風景を体感。5~6人が1グループとなり、京成立石駅を象徴する「呑んべ横丁」や「仲見世商店街」、周辺の住宅街などを訪れた。奥まって入りづらい呑んべ横丁にも踏み込んでもらうため、同所に約30年前からある居酒屋「しらかわ」(葛飾区立石7)にも協力してもらい、中継地点としてコースに組み込んだ。
「交流会」は、立石地区センター別館に場所を移し、講演と意見交換の2本立てで進行。アメリカや台湾で「アート」の力を使ったコミュニティーづくりの経験を持つコミュニティーデザイナー菊池宏子さんを講師に、「アート」の視点を持ち寄ったまちづくりのヒントの投げ掛けを受け、参加者それぞれが「このまちをどんなまちにしていきたいか」を考えた。
菊池さんの用いる「アート」とは、まちや地域を成り立たせている土地や環境、住民の中にあるものを丁寧に見つめ可視化し、表現していくツール。「アートはきっかけ、着地点ではない」という、まちと関わっていくときの姿勢を伝えた。
今回のイベントを通して参加者からは、「まちの良さを評価し合える場や環境が欲しい」「残せるものは色んな形で残していきたい」「立石の人たちのことを紹介したミニコミ誌があれば」「アートを組み込んでいく際には、仲介者のような人も必要」など、さまざまな声が挙がった。
菊池さんは、今回立石に訪れるのは初めて。「まちの規模もちょうど良いスケールだと感じた。文化は忘れがちだけれど、必要なものでこの立石にもある。まちづくりのような結果の見えないものは冷めやすく続けるにも体力がいることだけど、ここでは皆さんの熱を感じた」と今回のイベントを振り返った。
企画者の石川寛子さんは「このまちのことを思って、みんなで楽しめるアイデアをこれからも考えていきたい」と締めくくった。