金町浄水場(葛飾区金町浄水場)で4月24日、高度浄水施設の完成式が行われた。
同浄水場は1926(大正15)年8月に竣工。取水する上流に下水処理場が建設されたり、江戸川流域の河川汚染の影響で低品質水道水と言われた。とくに、1984年には当時の厚生省が発足させた「おいしい水研究会」において「日本一まずい水道水」と評され、取材の対象となるほどだった。
同施設は対策として通算3期25年の時間を費やし、都内では初となる100%高度浄水設備による水の供給が可能となった。今回はその完成に伴い、猪瀬直樹東京都知事や工事関係者らが出席した。
高度浄水設備による水の供給は4月1日から稼働開始。1日の浄水能力は150万立方メートルとなり国内最大級。同施設の処理能力は23区東部250万人の給水に相当する。
同施設は今回の式典に先立って、報道向けに新施設を公開。同施設は沈殿とろ過の間にオゾンの酸化によって除菌され、生物活性炭処理による微生物やカビなどを取り除く2種類の処理を行う。江戸川から取水された水は約4時間を経てカルキやかび臭さのない「おいしい水」として家庭に届けられる。
式典で猪瀬都知事は「蛇口から直接水が飲めるのは世界の都市でも珍しい。世界に誇れる魅力」と話し、都内の浄水施設全てが年内に100%高度処理水になると説明した。
都水道局工務課の井ノ口孝昭さんは「温度や建物の環境によって異なるが、ペットボトルに入っているミネラルウオーターと同様のおいしい水が提供できるようになった。現在は水道管や建物の老朽などで味の違いが出てくるが、今後もおいしい水の提供を目指していきたい」と話す。おいしい水の飲み方については、「大体摂氏4度程度に冷やして飲むと一番おいしいとされている。ミネラルウオーターと比べて飲んでみてほしい」とも。
今後は、工事の終了に伴い同施設の見学も検討しているという。「子どもたちだけでなく、多くの人が水の大切さとおいしさがわかってくれる施設となれば」と井ノ口さん。