4月1日に行われる消費税増税前に、立石の練り物専門店「増田屋」(葛飾区東立石4)が3月10日、消費税増税に伴う値上げを見送ることを決めた。
同店は1934(昭和9)年から続くおでん種やさつま揚げの専門店で、1948(昭和23)年から現在の場所で営業を始めた。無添加のさつま揚げは、毎朝三代目店主・中山貴司さんの手によって作られ、現在も手作りにこだわっている。店内では計量器などを使わず手の感覚のみで同じ大きさのさつま揚げ約30種が作り出されている。
今回の増税について、中山さんは「値上げしたり、商品のサイズ変更も考えたが、利用客が納得して買い物してくれることが一番大切。だから、形の悪い商品を1個おまけして喜んでもらったり、心の通ったやりとりをしたりして利用客に楽しんでもらうことをこれまで以上に重視したい」と消費増税に対抗する姿勢を見せた。「普段なら10回来る人に11回来てもらったら、その分の売り上げで増税に対抗していけるのでは。8%の消費税が10%になったらどうなるか分からないが、価格据え置きで行けるところまで行くつもり」とも。
同店を訪れた60代女性は「厳しい情勢の中、値上げしない姿勢は驚きを覚える。友人の紹介で来店したが、味の良さで再来したいと思っていた。値上げしないことであれば、さらに来店するきっかけになる」と大規模小売店とは異なる消費税対抗策を評価する意見が寄せられた。
営業時間は10時~17時。日曜定休。