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葛飾・高田紙器が「TASK大賞」受賞 町工場ならではの目線でアイデア実る

社長の高田照和さんと大賞を受賞した「トルソブック」

社長の高田照和さんと大賞を受賞した「トルソブック」

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 葛飾・堀切の高田紙器製作所(葛飾区堀切3)が1月14日、「東京TASKものづくりアワード2021」で大賞を受賞した。

「トルソブック」を折り畳んだ状態

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 台東区・荒川区・足立区・葛飾区の4区の物作り産業のさらなる活性化を目指す同コンテストは、4区内の事業主が開発・製作した新商品を表彰するもの。今年は30点の応募作が集まった。

 大賞に輝いたのは、高田紙器の紙で作ったマネキン「トルソブック」。同商品は折り畳み式のトルソーで、重量はおよそ2キロ。これまでのプラスチック製トルソーと異なり、持ち運びが容易になり、価格も大幅にカットすることに成功した。

 同社は1929(昭和4)年創業の紙器メーカー。主に製菓メーカーや百貨店、化粧品メーカーのパッケージ製作・デザインなどを手掛けている。その技術を応用して、飛び出すメッセージカード「パカポン」や、飛び出す名刺、テレビ収録や展示会用に大型の飛び出す絵本の制作を手掛けている。

 開発のきっかけについて、4代目社長の高田照和さんは「昨年の秋にアパレルメーカーから相談があり、トルソーに関する労力について話を聞いた。洋服は薄いのに、トルソーは値段が高く運搬でかさばってしまう。服飾の学校にも使える安価で簡易なトルソーがあれば、という発想で紙製のトルソーを作ることになった」と話す。

 着想から開発まで、およそ1カ月。高田さんは「これまでさまざまなギミックの紙包装や、巨大な飛び出す絵本を作った経験から、荷重に強い紙の立体物を作るノウハウがたまっていた」と話す。

 現在商品化に向けて最終調整中で、価格はプラスチック製の半分から6分の1程度となり、服飾系の学生でも安価で気軽に使えるトルソーを目指している。

 同社は同コンテストで受賞するのは4回目で、常連の一社。現在は毎月1商品の新商品を生み出すチャレンジに取り組んでいるという。

 高田さんは「いつも生活の目線が『紙でこの問題は解決できないか』『紙でこの商品は作れないか』というテーマで見てしまう。その目線で世の中を見つめると人と異なった目線で商品のアイデアが生まれてくる。自分が置かれたジャンルで世界を眺めることが大事」とアイデアのコツについて話す。

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