柴又にある文化施設「山本亭」(葛飾区柴又7)で8月15日、山本亭地下防空壕(ごう)の特別公開イベントが行われた。
山本亭は、大正末期に建てられた趣のある書院造りに西洋建築を取り入れた、和洋折衷の建築物で、カメラ部品工場を営む山本栄之助の住居として建てられた。東京都初の国選定重要文化的景観「葛飾柴又の文化的景観」の重要な構成要素である同邸宅。純和風の庭園は、アメリカの日本庭園雑誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」で常に上位にランクインしており、区内有数の観光施設として知られている。
8月15日の終戦の日に合わせて行われた同イベントは、午前と午後2回の開催で計85人が参加。普段は一般公開されていない山本亭の地下にある防空壕は、通常の防空壕と異なり、コンクリート造りで、6畳2間の広さに加え金庫やシャワー室も完備されており、参加者からは想像していた防空壕との違いに驚きの声が上がった。
戦時中の葛飾について、区の学芸員が戦時中の写真を見せながら解説。焼夷(しょうい)弾で区役所が燃えたこと、柴又駅や柴又帝釈天付近でも空襲があったことなどが話され、参加者は真剣に聞き入っていた。併せて、葛飾昔ばなし研究会による、東京大空襲についての紙芝居「ガラスとうさぎ」「コスモスの花は咲いたけど」が上演された。