葛飾区は3月18日から、東日本大震災の被災者に向けた避難所として「水元学び交流館」(葛飾区南水元2)の提供を始めた。
同館は85帖(じょう)の大広間があり、炊事をしたり風呂に入ったりすることが可能。近くに公園などの施設もあり同区は避難場所に指定。18日夕方から通常営業を停止し、避難者の受け入れを開始した。現在は福島県いわき市などから12世帯48人が避難している。
同館周辺の地域に対して区は駐車場などの施設開放を要請した。その要請を聞いた地元町内会たちが施設運営のボランティア活動を開始。この活動の呼びかけを行った西水元地区自治町会連合会会長の大山安久さんは「要請の呼びかけでこの施設を使うことを聞きつけ、自分たちでできることを考え、他町会などに呼びかけた」と話す。
大山さんたちは避難者や施設に今すぐ必要なものである食料・医薬品・生活用品などを聞き出しリスト化。リストは各町会に配布し、町会の各家庭から持ち寄った。物資は各家庭から寄せられ、生活に十分な資源は確保したという。現在は炊き出し以外にも被災者自らが自炊して生活できる水準を維持。「風呂も2日に一度入れるようにしており、なるべく被災して落ち込んだ気持ちを和らげる努力をしている」(大山さん)という。
今週明けから、町内会を中心にボランティアスタッフが炊き出しや入浴支援など行った。中には地元・葛飾総合高校の生徒の姿も。「若い力のおかげでとても助かった。地域が一丸となって支援する姿を見てうれしく感じた」とも。
ボランティア活動に関しては「かつしかボランティアセンター」(堀切3、TEL 5698-2511)の登録ボランティアを中心に運営している。同センターの鈴木茂晴所長は「現在多くの問い合わせがあるが、どの人材をどのような要望に応えるようにお願いするか、支援物資もどのような場合に必要なものをお願いするか検討をしているところ。当面の物資と人材に関しては協力のおかげで充足しているので安心してほしい」と話す。
今後について、大山さんは「今は災害のための救援活動だが、今後は自立のための支援に移行していきたい。炊き出しをするだけでなく、自炊の支援や生活のゆとりなどの支援を行い、現在館にいる全員が一刻も早く立ち直ってほしい」と期待を込める。