端午の節句を目前に控えた5月2日、亀有のよろい専門店「鎧の光山堂」(葛飾区亀有3、TEL03-5682-4658)では多くのよろいに関する問い合わせが集まっている。
もともとは五月人形のみ扱っていた同店だったが、1977年(昭和52)年ごろから大人用の甲冑(かっちゅう)の取り扱いを開始。甲冑の取り扱いは先代の松下豊さんの趣味が高じたのがきっかけだった。
2代目の高山彰さんは「数年前まで五月人形やひな壇も取り扱っていたが、ニーズに合わせてよろい・甲冑の専門店に変更した」と話す。同店では常時30領以上のよろいを展示し、中には試着できるものも。価格は「安くて30万くらいから、高い物だと1領300万円は下らないものある」という。
主な顧客は愛好家や各地の時代祭の実行委員など。実際に着られるように当時の半分ほどの15キロ程度に軽量化されたよろいは、素材をそのままにして鉄の薄さなどで軽量化を図っている。「素材をプラスチックなどの代用品にすると、そのよろいの質感が大きく変わる」(高山さん)とも。
同店では子ども用の甲冑も用意しており、初節句のこの時期には多くの問い合わせと購入がある。しかし、今年は、問い合わせはあるものの「震災の影響のためか、例年よりも販売ペースが伸び悩んでいる。自粛ムードの延長かもしれない」とも。価格も20万円台~と幅広いが、「細かい細工の装飾に職人たちの手間と技術を掛けている一品。丁寧な分だけ立派な仕上がりになっている」と話す。
今後については、「五月人形などの需要などが全体的に減少しているが、趣味・嗜好(しこう)性のあるラインアップを用意し、少ないながらもニーズに応えていきたい」とし、「よろいという日本独自の文化をこの店で発信して保存していければ」と話す。