葛飾区郷土と天文の博物館(葛飾区白鳥3、TEL 03-3838-1101)で現在、特別展「かつしか街歩きアーカイブス~かつしかの近・現代の遺産と、その風景~」が開催されており、多くの入場者を集めている。
同展では、同館主宰のボランティア「葛飾探検団」の取材・研究の結果を元に江戸時代からの葛飾の建物や街並みにどのような特徴があり、どのように変遷してきたのか、また、葛飾で暮らした人々がどのように移り変わってきたのかについて紹介するもの。
探検団は実際にある駄菓子屋や銭湯などに足を運び、建物や施設などを図面に起こすだけでなく、現在販売されている物品を購入し展示を行っている。同館学芸員の谷口さんは「下町の過去の風景を再現するのはよくあること。同展では現在ある風景を保存し、その価値を再発見していく趣旨もある。普段見ていた景色やものの遍歴に注目してほしい」と話す。
目だけでなく耳やにおいなど五感で感じる展示物も数多く用意。区内にある踏切の音を録音し、映像で比較する企画もあり、来場者の一人で堀切の踏切付近に40年住んでいる男性は「日常の景色が切り取られ、意識すると全然違うことに気付いた」と驚きを見せる。
中でも来場者が必ず試すのが、同区立石にある2軒のもつ焼き店の「におい」を再現した装置を。ボタンを押すと特別に配合されたにおいが送風され、タレで焼かれた香ばしいにおいをかげる仕組み。両店の店名については、「ぜひ実際に通って確かめてほしい」(谷口さん)と笑う。
そのほか、映画「20世紀少年」で「ジジババの店」のモデルになり、最近ではドラマ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の舞台の参考にもなった「高橋商店」(葛飾区小菅1)や、戦後の産業や風俗を紹介したコーナーも立ち並ぶ。
同展の目的について、谷口さんは「当展を通じて街を懐かしむだけではなく、自分自身でも散歩をしながら区内の魅力を探してみてほしい。目線をちょっと変えるだけでも、日常の風景が数倍も楽しくなる。そのきっかけになってくれれば」(同)と話す。
開館時間は、火曜~木曜=9時~17時、金曜=9時~21時、土曜・日曜=9時~17時。休館日は月曜、第2・第4火曜日。9月25日まで。