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亀有のギャラリーで「笑う覚悟」を問う個展-過去の「イタイ傷」も公開

父の肖像と新作の自画像に挟まれる下地さん

父の肖像と新作の自画像に挟まれる下地さん

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 亀有駅南口にほど近い画廊「ギャラリーバルコ」(葛飾区亀有3)で3月15日、「下地貴之展~それでも笑う覚悟はあるか!?~」が始まった。

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 同展は下地さんにとって1年半ぶりの個展となる。今回は新作2作を含む13点が展示。いずれも下地さんや下地さんの妻など周囲の人が中心。

 周辺の個人を描写することについて、下地さんは「制作物は常に周囲の顔を媒介とした、個人から発信するものでありたいと思っている。自分が感じた身近な一コマを、見た人間に落としこんで見てもらえれば」と話す。

 副題の「それでも笑う覚悟があるか」については、「笑う、という行為は生きることと一緒。笑うことが生きている証し。昨年は東日本大震災と父の死が自分に大きな影響を与えた」と話す。父の死に関して「昨年10月に病気が発覚し、2カ月しないうちに亡くなった。死というのはいつ自分に起こるかわからないもの。そのとき自分は一生懸命生きているか、という疑問が生まれた。その疑問を通して、その場を生きていく覚悟、どんなことがあっても笑える覚悟を自分は感じた」と振り返る。

 会場には、過去に制作した大型の作品も展示。自身をテーマにした「三十路の壁」や、ベラスケスの作品をモチーフにした「鏡を見ろ、ヴィーナス」なども展示し、作品だけでなくタイトルにも工夫を施す。

 過去の作品を振り返り、下地さんは「その時点ではどれも自分の最高傑作と思って制作している。しかし、実際に展示した瞬間、自分の目から離れてしまうと修正部分に気付いていく。それが10年前、5年前の自分と比べることがあるが、その当時の自分の姿を見ている気にもなる。その当時の作品を出すことは、中学生時代の日記を読むようで、自分にとって『イタイ傷』に塩を塗りこむような行為」と話す。「しかしながら、その傷を向き合って自分に笑う覚悟、という自分への意味も込められている。自分の傷を作りながらも今後も作品と向き合い、多くの人を笑わせていきたい」と自身の覚悟や作品への向きあう姿勢を見せる。

 営業時間は12時~19時。水曜定休。今月27日まで。

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