タカラトミーアーツ(葛飾区青戸4)が9月に発売したガチャブランド「パンダの穴」の売れ行きが好調だ。
同ブランドは9月発表のサメの各品種をフライに揚げた「サメフライ」からスタートし、11月には、寝ている小動物をモチーフとした「ZooZooZoo(ズーズーズー)」や、ロダンの考える人が遊んでいる「考えない人」、チラ見するチアリーダーたちがメーンとなる「机の上からチラリーダー」など、ほぼ毎月新作を登場させる予定。本年度中には6種類のラインアップを拡充するという。
企画・開発を担当した同社の佐藤涼子さんは「それまで出合わなかったユニークな発想がきっかけ。パンダの穴のパンダは『みんなの人気者になりたい』という思いを込めて。『穴』はガチャの出てくる穴を発想させたもの。何が出てくるかわからない楽しさを表現した」と話す。
「パンダの穴」は、佐藤さんと「謎のクリエーティブ集団」との出会いがきっかけで、その出会いは2012年にさかのぼる。「(世界最大のガレージキットイベントの)ワンダーフェスティバルで出会ったのがきっかけ。その後、50案ほどのガチャの企画を持ち込んでくれ、その発想はとても面白かった。ガチャを担当して10年近くなるが、これはヒットするのでは、という予感があった」と話す。
同ブランドからはまだ「サメフライ」のみしか販売されていないが、当初予定していたロットは全て完売し、現在は日本だけでなく韓国・台湾・香港での発売も決定しているという。人気はウェブにも影響し、同社の閲覧数ランキングは登場するやいなや2位と躍進している。「人気シリーズならともかく、出始めのアイテムでは異例」(広報担当の有賀さん)とも。
かつてガチャをはじめとしたカプセルトイは子どものおもちゃだったが、ここ10年で売り上げは低迷。その後の売り上げもここ数年横ばいで、子どもの購買が全体の8割から5割に低迷している。同商品のメーンターゲットは20~30代に設定し、「ガチャに対して抵抗感がなく、気軽に遊べる金額を投資できる世代を考えたら自分と同じ世代だった。なので、マーケティングなどは特に考えず、自分にとって何が楽しいのか、何が面白いのかをずっと考えることができた。旅行に行っても街に出掛けてもガチャのことばかり考えていた」(佐藤さん)と笑う。
ガチャの企画と開発に取り組んで10年近くになる佐藤さんは「ヒットするために常に考えているのは『その商品はしゃがんでくれるのか?』をよく考える。ガチャはかがんで商品を見て、ハンドルをひねるなどアクションが多くて面倒なイメージ。そのイメージを楽しくさせるインパクトや仕掛けを面白がってくれる商品がヒットする。利用客がかがんでくれるイメージができる商品はヒットする傾向にある」と話す。
今後について、佐藤さんは「今回の商品のように持っていることによって会話やネタになるようなコミュニケーションできるアイテムを開発していきたい。決して高価なものでなく、ちょっと遊び心で楽しめるものを開発したい」と意欲を見せる。
価格は200円。全国の玩具店と専門店などで販売している。