亀有の喫茶店「喫茶モア」(葛飾区亀有3)が11月20日、26年の歴史に幕を下ろす。
1988(昭和63)年にオープンした同店。下町の純喫茶を感じさせる内装には、テーブル席とカウンター席24席を用意し、地元の中高年が中心に集まる亀有の「地元の憩いの場」としても知られる。メニューは昔ながらの喫茶店ラインアップがメーンで、懐かしい味わいでボリュームのあるナポリタンを求める来店客も多い。
同店では、マスターの松橋進さんが「しゃれとして」作った作品なども話題に。残念なイラストが掲載されている「がっかりシール」や、正月用に作られたが製作期間が3週間以上掛かり正月には間に合わない「モアのいろは歌留多」などは話題を集め、マスターのユーモアに触れるために来店する若い世代の姿もあった。
閉店の理由について、松橋さんは「常連客や利用客の減少もあるが、数年前から腱鞘(けんしょう)炎を患い始め、以前のように店の切り盛りすることに不自由が出た。時にはメニューを持つ手に力が入らなくなることがあり、以前のようなサービスが提供できなくなってくるため」と話す。
さらに「来店客と会話する引き出しにも限界を感じ始めてきた」ともう一つの閉店の理由も。「長年付き合いのある常連客と会話をするときも、期待に応えられるように配慮し、各ジャンルの話題の引き出しを用意することに努めてきた。開店当時から会話を楽しんで来てくれるのがこの喫茶店。その喫茶店の付加価値を提供し続けていくことに限界を感じた」(松橋さん)と「プロの喫茶店」として閉店を決めたと話す。
現在は喫茶店のマスターのほか、川柳作家や教室の講師としても活躍する松橋さん。今後については、「喫茶店の業務は準備から閉店まで14時間もの長い業務。それに3時間近く原稿を書いているとほかのことができなかった。これからは家族や猫と触れ合う時間を増やしていきたい」と話す。