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金町の老舗銭湯「金町湯」リニューアル 壁画に「葛飾らしさ」描きSNS発信招く

4代目となる長男の山田新太郎さんと加奈さん夫妻

4代目となる長男の山田新太郎さんと加奈さん夫妻

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 老舗の銭湯・金町湯(葛飾区金町5)が9月10日、改装工事を終了してリニューアルオープンした。

祖父母の家の欄間を掲示し、玄関にあった招き猫の焼き物タイルを受付下に

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 同銭湯は金町で1943(昭和18)年に創業し、今年で78年目。創業者で曾祖父の山田清松さんは100歳近くまで番台に座っていたという。当時はアパートなどが密集し、風呂なしの家庭が多く、昭和を中心に多くの住民が利用してきたが、利用客は家風呂の普及などに伴い減少。現在は高齢者を中心に銭湯愛好家などに愛されている。今回の改装は65年ぶり。

 金町湯は現在、3代目の山田正伴さんが経営しているが、4代目となる長男の山田新太郎さん・加奈さん夫妻が引き継ぐことを決意、昨年から同銭湯の見習いになった。それまで会社員だった新太郎さんは当初、家業を継ぐ意思は全くなく、継いでほしいという家族からの思いも一切なかったという。

 しかし3年ほど前、新太郎さんは北千住にあるタカラ湯(足立区千住元町)で「けろりんミュージアム」というイベントが行われていると知り、銭湯がいろいろな企画を行っていることを目の当たりにした。「落ち着く空間を作るなど新しいことを行っているのを見て、自分の意識が変わった」と当時を振り返る。

 その後、ツイッターで「変わっていく銭湯」の情報を見ているうちに、自身の実家も銭湯だったと考えるようになり、30歳のタイミングで継ぐことを決意。妻の加奈さんが「一緒にやろうか」と言ってくれたことも大きかったという。

 改装は、浴室の壁のペンキ絵を中心に行った。天井や外観は残したものの、常連客からは「ガラッと変わったね」という声を聞くという。祖父母の家にあった欄間を受付の上に掲示し、玄関にあった招き猫の焼き物のタイルを受付の下に移植、番台をオブジェとして残すなど、「お客さんの記憶に残す空間にすることができ、金町湯の歴史を感じてもらえるリニューアルができた」と話す。

 浴室の壁のペンキ絵は、日本に3人しかいない銭湯絵師の中島盛夫さんが描いた。葛飾の要素を絵に入れるため、旧男湯には金町の取水塔、旧女湯には水元公園の花しょうぶを入れた。

 新太郎さんは「以前は、お客さんの半数が70歳以上だったが、リニューアルオープン後は若い人が多い日もある。若い人たちがSNSで投稿しており、これから変わっていくのかもしれないと実感している」と現状を話し、「この変化が銭湯だけでなく、金町や末広商店街全体にも来てほしい。活気のある状態になればいいと思う。おこがましいが、その中心になって何かができれば」と意気込む。

 入浴料は480円、手ぶらセット(入浴+入浴セット)630円、ととのい(入浴+サウナ)700円、手ぶらととのい(入浴+サウナ+入浴セット)850円。営業時間は15時30分~22時30分。木曜・第4金曜定休。

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