葛飾区東金町運動場スポーツクライミングセンター(葛飾区東金町8)で7月2日、東京五輪銅メダリストの野口啓代(あきよ)さんを迎え、「スポーツクライミング交流会」が行われた。
金町「スポーツクライミング交流会」でクライミングの実演をする野口啓代さん
野口さんのトークとクライミングの実演を通じて、葛飾区民にクライミングの魅力を伝えることを目的に、東京五輪1周年記念で開催された同イベント。野口さんは東京五輪銅メダルのほかに、ワールドカップ年間総合優勝4回、ジャパンカップ9連覇などの実績を持ち、現役引退後は自身の経験を元にクライミングの普及に尽力している。
初めに青木克徳葛飾区長が「オリンピックから1年、その経験を将来に生かしていきたい。設備の確保など、葛飾区民一人一人がスポーツを楽しめる環境作りを進める。野口さんのような一流のアスリートのパフォーマンスを見て、皆さんにもスポーツを楽しんでもらいたい」とあいさつ。
トークコーナーでは、野口さんがスポーツクライミングの競技説明やオリンピックに出場した際のエピソード、スポーツクライミングを始めたきっかけなどを話し、「子どもの頃から高いところが好きで、高い木や屋根に登っていた。クライミングを始めたのは小学5年のときで、怖いという気持ちよりも、高いところに行けて楽しく、高いところから景色を見ることが好きだった」と幼少期の思い出を話した。
クライミングの実演では、いとも簡単に登っていく野口さんに、参加者から「すごい」という歓声と拍手が起こり、野口さんは「クライミングはエクササイズとしても健康に良いので、体をストレッチする感覚で楽しくやってみてほしい」と呼びかけた。
同施設は水元公園内にあり、スポーツクライミング3種目(リード・ボルタリング・スピード)の設備が整っている。2024パリオリンピックに向けて、トップ選手の強化拠点となるナショナルトレーニングセンターに国内で初めて指定され、今後、日本代表選手が利用する施設としてトレーニング環境の整備を行っていくという。野口さんは「都内で3種目の施設が整っているのはすごいこと。全国でも数カ所しかない」と言い、「この施設はオリンピックのキャンプ地としても使っていたので毎週通っていた」と懐かしんだ。
同施設スタッフの野中建さんは「国内唯一のナショナルトレーニングセンターとなるため、最先端のホールドを生かしたコース作りをして、パリオリンピックでもメダル獲得に貢献できたら」と意気込み、「この施設は一般の人も利用できるので、葛飾から将来のオリンピック選手が輩出されることを期待したい」と話す。
今後の展望について、野口さんは「現役時代は第一人者と呼んでもらっていたが、引退後のセカンドキャリアでも第一人者と呼ばれる存在になりたい。引退後も、『こんな活動ができる、こんなに夢を与えられる』ということを、今頑張っている子どもたちや選手たちに伝え、引退した後も活躍できるというロールモデルになりたい」と話す。