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葛飾区で初の回遊型アートイベント 街に文化・芸術の新しい息吹

元小林薬局の店内

元小林薬局の店内

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 葛飾区初となる回遊型アートイベント「川の間(かわのま)コネクション」が9月4日~6日に開かれた。

小林薬局を彩ったアーティストの柵木(ませき)愛子さん

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立石を中心に、青砥、柴又など数カ所で行われた同イベント。絵画や彫刻などの作品を展示するのではなく、区内外のアーティストやクリエーターの目から見た葛飾の「面白さ」「温かさ」といった魅力そのものを、各ジャンルの手法を通して視覚化するという新たな試みがなされている。

 参加者の一人で、清掃など日常生活を映像作品にしている新小岩在住の美術家・岩井優さん(40)が今回発表したのは、立石に程近い梅田稲荷(いなり)神社の境内で8月、町内会員ら約20人たちと共に多くの丸鶏をさばき、焼き鳥にして食べ、後片付けするまでの一連の様子を撮影した映像。イベント期間中は地元住民が開放している民家のテレビでその映像を流しながら、客と語り合っていた。「この家には、使う人の責任の下で掃除や改装もするという見えない秩序がある。それが気に入って、この場所で発表した」と岩井さん。

 「立石」の地名の由来となっている「立石様」と呼ばれる奇岩がある立石児童遊園(立石8)では、劇作家・岸井大輔さん(44)主導の下、在籍する劇団員が訪れた客と一緒に「青砥と立石の中間地点にあるこの場所に一休みできる茶屋を作る」という参加型イベントが行われていた。何もない空間に持参した紅茶のペットボトルを置いてみたり、休憩している客を演じてみたり、「茶」の字を地面に水で描いたりと、それぞれが思う茶屋の空間を創造し楽しんでいた。

 去年、岡本太郎現代芸術賞に入選した経歴を持つアーティスト・柵木(ませき)愛子さん(27)は、2008年閉店以来、各種イベントに使われていた小林薬局(立石1)に残っていた商品の垂れ幕やのぼりなどを元店主から譲り受け、それらを素材に店内を彩り、訪れた人の目を引いていた。立石の魅力について、柵木さんは「意味が分からなくても気になったら取りあえず立ち止まってくれる人が多い。知らんぷりしない街」と話した。

 イベントを立ち上げたのは、青砥出身で立石在住のデザイナー・新藤君平さん(31)。「企画してみて、住み慣れた葛飾の街をより深く知ることができた。葛飾にはまだまだ面白い人がいるし、もっと面白い街になる」と今後の活動に意欲を見せた。

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