葛飾青戸で飾熊手作りが最盛期-職人一家、親子3代で100年の歴史守る

職人歴70年の清田敏雄さんと、40年の一彦さん。2人とも「仕事が好きだから、長続きする」と話す。

職人歴70年の清田敏雄さんと、40年の一彦さん。2人とも「仕事が好きだから、長続きする」と話す。

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 青戸の熊手作りを専門とする「青戸八尾敏」(葛飾区青戸7)が11月7日の「一の酉(とり)」を目前に控えた現在、飾熊手作りの最盛期を迎えている。

ひとつひとつ鯛に色を塗る清田さん(関連画像)

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 店主・清田敏雄さん(86)製作の飾熊手は、主に鷲神社の酉の市で販売されている。清田さん製作の熊手欲しさに遠くから足を運ぶ客もいるほどで、「価格は2,000円から数十万円まで幅広い。購買者は昔から商売を行っている人も多いが、近年では観光客や外国人も購入していく」と話す。

 清田さんの作る熊手はすべが手作業で行われている。「非常に手のかかる作業。挿しぐしや熊手の曲げなども、すべて手作業で行っている。かなり手間のかかる作業」と長男の一彦さん。熊手に使われるしめ縄は、自身で田を持ち、あえて実のできる前に収穫した「みとらず(=青わら)」を使う。理由として「収穫後のわらの場合、日焼けして茶色になってしまう。見栄えのいい飾熊手を作るのには時間もかかる」とも。

 清田さんは今年で現役70年目を迎える職人。清田さんのように飾熊手を専門で製作する職人は区内でも数軒しかなく、区の伝統工芸士の認定も受けている。敏雄さんは2代目で、「親父の代を入れると100年は超えている。もう何万本の熊手を作ってきたか」と笑う。

 70年一筋の仕事を振り返って、「常に同じものを作っているのではなく、毎年どのようなデザインでお客さんに喜んでもらえるかを考えている。毎年挑戦することが飽きない最大の部分」と敏雄さん。この道40年の一彦さんは「父と同じく、毎年の変化を自分で楽しんでいる」と話す。

 現在は3人で行われている飾熊手の製作だが、下旬になると一彦さんの家族も加わって総出で製作に明け暮れる。それでも同所で生産できる飾熊手は年間約1,300本程度と限られている。、今年で29歳になる敏雄さんの孫もいずれは飾熊手の担い手となる予定だという。「常に自分の父の背中を見て育ってきて、父の仕事に興味と尊敬を持った。息子もそのような仕事を見てきたから興味が沸いたのでは」と一彦さん。今後については、「さらに100年後、どの時代や客にも愛される技術・商品を後世に語り継ぐものになれば」(敏雄さん)と次世代への期待を寄せる。

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