かつしかシンフォニーヒルズ「ギャラリー1」(葛飾区立石6)で12月11日~14日、「久保田絢子拓画(たくが)展」が開催された。主催は久保田さん、共催は葛飾区文化施設指定管理者、後援は葛飾区、葛飾区教育委員会。
拓画とは、実際の植物を版にして拓画用墨汁を噴霧し、ローラーをかけて和紙などに摺(す)りとり彩色を施す、版画と絵画を合わせた世界唯一の芸術。「絵心などなくても誰でも楽しめる絵画法」として、久保田さんの伯母の父である宮地北南氏により考案された。
久保田さんは1980(昭和55)年同区出身。建築学科在学中に拓画を習い始め、2004年、1年間のドイツ留学から帰国後、拓画家である伯母の久保田南女さんに師事。2012年に拓画、拓画印刷を制作、紹介、販売する個人企業「Osterstr.18」を立ち上げ、現在は制作する傍ら、イベントや学校、カルチャーセンターなどで拓画を広める活動を行っている。2013年には、久保田さんの作品を区が買い上げ、友好都市のオーストリア・ウィーン市のフロリズドルフ区に記念品として寄贈されている。
区内で個展を行うのは初めて。特別企画として「拓画体験講座」も行い、手すき和紙のはがきに「ナンテン」「キンレンカ」」「ハス」など、季節の葉を摺る年賀状を作成。葉脈や葉の質感など、参加者それぞれの個性で摺りとる。墨絵の濃淡に加え、水彩絵具で彩色することでさらに味わい深い作品に仕上がる。参加者の一人は「構図によってもイメージが変わるし、葉の表と裏でも違った表情になる。絵が苦手でも楽しめると思い参加してみたが思いのほか奥深い」と驚いた様子を見せていた。
久保田さんは「同じ植物でもその土地によって種類もさまざま。これからもっといろいろな所で、その土地の紙や植物を使った作品に挑みたい」と意欲を見せる。