コミュニティーカフェ「立石BASE281」(葛飾区立石2)が4月11日で1周年を迎えた。
店主の井口雄太さんが実家を改装して開いた同店は、地域の人たちに寄り添いながら、交流を深めていくことを目指したコミュニティーカフェで、10日に1周年記念イベントが2部構成で行われた。
1部では立石出身で葛飾の歴史に詳しく、考古学者で葛飾区の学芸員でもある谷口榮さんが、「千ベロの聖地立石&2丁目物語」と題して講演。谷口さんは立石の歴史的背景や文化について話し、終了後は参加者からの質問に答えるなどした。併せて、谷口さんが監修した特製下町ハイボールのお披露目もあり、参加者に振る舞った。
同店について、谷口さんは「敷居が低くて入りやすく、ゆったりくつろげる。こういう場所で世代を超えて会話ができ、一つのことに対して同じ空間で考え取り組んでいくのは素晴らしいこと」と思いを込める。
2部では谷口さんと、若手3人の井口さん、立石の米穀店で修業する塔嶌麦太さん、立石出身で毎週金曜に同店で間借りカフェを始めた中西優有子さんが世代を超えて「立石らしさ」をテーマにトークを展開した。
井口さんは「祖父が暮らしていた民家を改装し1年間営業してきて、祖父が立石で過ごしたその時間に守られているように感じている。自分のように、祖父の代から数えて3世代目の孫に当たる人たちが自然発生的に立石で店を始める人が多い」と話す。
塔嶌さんが「立石の人は外からの目線と関係なく、何となく街が好きという思いを持っている気がする」と話すと、中西さんが「立石に生まれ育った私は、立石らしさを感じたことはなかった。外から来た人に街の見え方を教えてもらった」と返した。中西さんは「子どもの頃は、古い街並みに抵抗があったが、立石BASEで出会った人たちと街に出て飲んでいて、街の価値を感じることができた。生きることに何の恥も感じない安心感がある街だと思う」と述べた。
立石について、井口さんは「立石は自然体で着飾らずに生きていける街、それはとても豊かなこと。自分たちの世代は人口が減り、経済も縮小していく中で、この豊かさはこれからの生き方の参考になると思う」と語った。
営業時間は13時~19時。月曜・火曜・水曜定休。