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葛飾の刀剣研師が日本刀の研ぎ実演-伝統の技に見学者も興奮

研ぎ方の説明をする高岩さん

研ぎ方の説明をする高岩さん

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 郷土と天文の博物館(葛飾区白鳥3)で5月18日、刀剣研師・高岩節夫さんによる日本刀の研ぎ実演会が行われた。

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 現在展示中の企画展「日本刀の美と技~葛飾の名工たち」に合わせた同イベント。高岩さんは1947(昭和22)年島根県出身で、研師の長男として生まれる。1963(昭和38)年、後の人間国宝・刀研磨師・藤代松雄さんに弟子入り。1978(昭和53)年、葛飾区に転入し、2000年には葛飾区指定無形文化財保持者として認定。今回、その伝統的研磨技術法を披露するということで、会場には100人を超える見学者が集まった。

 研師とは、刀鍛冶が作り上げた刀身に美しさと切れ味を加える仕事。研ぎの工程は大きく分けて「下地研ぎ」と「仕上げ研ぎ」の2つ。下地研ぎは荒砥(あらと)や備水砥など、目の異なる数種類の天然砥石(といし)を使って刀身の姿形を整えていく。仕上げは地艶、拭い、刃取り、磨き、ナルメなどの工程を通して色や光沢を調整し磨き上げる。通常一振りの刀を仕上げるのに「1週間から10日はかかる」という研ぎの技術を、2時間のダイジェスト版で実演した。

 高岩さんは研ぎの工程が一つ終わるごとに周囲に刀の変化を見せた。特に反響が大きかったのは、刃文を白く浮き立たせる「刃取り」。刀身を光に透かし、炎のように波打つ模様が浮かび上がると見学者から一斉に感嘆の声が上がった。高岩さんもこの時は刀を持って立ち上がり、自ら見学者の目の前に刀身を差し出し、「よく見てください。日本刀はこんなにきれいなんです」と熱心に語りかけた。

 見学者から寄せられた「若いころはよく手を切ったのでは」という質問に対し、高岩さんは「よく切ったが、たくさん切ったほうが上達すると思って喜んで研いでいた」と話した。「1日何時間くらい研ぎの仕事をするのか」という質問には、「若いころは10時間以上も研いでいたが、失敗と修正が多くて一向に進まなかった。今は5時間で普通の人の2日分は研いでしまう」と返答。それでも時には失敗することがあるといい、「良い仕事をしたと思って酒を飲んで寝ると、夢枕に師匠が立ってやり直せと言うときがある。起きて刀を見ると、確かに出来の悪いところがある。まだまだ師匠にはかなわない」と語り、会場の笑いを誘った。

 イベント終了後、足立区から見学に来た早川輝夫さんは「日本刀の研ぎは普段見ることができないので妻と一緒に来た。研師の道具立てが近くで見られ、シャコシャコと刀を研ぐ音まで楽しめた」と感想を語った。

 開館時間は9時~17時。月曜と第2・4火曜休館。入館料は、大人=100円、小中学生=50円、幼児無料。企画展は6月15日まで。

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