都内でラッパを吹きながらリヤカーを引き豆腐を売る「豆腐屋あこ」こと菅谷晃子さんが8月31日、葛飾区内の全ての小・中学校に自身の著書「あこのありが豆腐」を寄贈した。
菅谷さん自身が小学生のころに学校でいじめを受けた経験をつづった内容の同書。「誰にも言えない苦しみや生きづらさを抱える子どもたちに届けたい」という思いから、葛飾区議会議員の沼田たか子さんの協力で寄贈が実現した。
現在の仕事について、「今まで何をやっても続かなかった」と話す菅谷さんは23歳のとき、フリーペーパーの求人で「リヤカーを引いて街へ出て、人の温もりのある仕事をしてみませんか」というキャッチコピーを目にし「即応募した」と振り返る。
ところが、いざ街へ出てみると、最初は声を掛けるのが怖く、ためらっていたという。リヤカーで豆腐屋の引き売りという物珍しさや懐かしさもあり、次第におじいちゃん、おばあちゃんが買いに来てくれるようになった。豆腐売りを始めて今年で19年目の菅谷さんは現在、足立区を中心に都内を毎週同じ曜日に同じルートで販売している。
雨の日も雪の日も、毎日休みなく豆腐売りを続ける理由について、菅谷さんは「私を待ってくれる人がいる。一人で孤独を感じている人たちに笑顔を届けたいから」と言い、「いじめを受けていたとき、自分は生きる価値がない人間だと思っていた。でも、豆腐売りを始めてから、いろいろな人に褒めてもらい、応援してもらいながら、過去の自分を認めてあげることができた。今度は私が誰かを助ける番」と話す。
今後について、「いつか社会からいじめをなくしたい。そのためにクラウドファンディングで資金を集めて、全国の学校にこの本を寄贈したい」と意気込む。