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チャルメラの音色響かせ葛飾のラーメン屋台が_20年目 リタイア宣言も

今では珍しいラーメン屋台 食べられるのはあと1年

今では珍しいラーメン屋台 食べられるのはあと1年

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 葛飾・奥戸かいわいを移動する屋台のラーメン店が今年で営業20年目を迎えた。主人の田辺さん(66)は「今までお客さんのおかげで何とかやってこられた」と感謝しつつも、「身体的にもしんどくなってきた。営業はあと1年」とリタイア宣言も飛び出した。

昔懐かしい醤油ラーメン

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 毎週水曜・土曜の夕方、奥戸周辺を小さな屋台を引いては練り歩いている田辺さん。作るのは、手打ちの麺に特製のしょうゆスープ。そこに添えられる、メンマにノリに刻みネギ。昔懐かしいラーメンが人気で、営業開始とともに事前予約の電話が絶えないという。しょうゆラーメンは15年間据え置きの600円。他にワカメラーメン、メンマラーメン、チャーシューメンがある。

 「昔小さかった子が今や大学生になっていたり、結婚して子どもが生まれていたり。そういう成長を見るのがうれしい」とほほ笑む。

 それまでは会社の経営をしていたという田辺さん。しかし、誰かを雇ったり、雇われたりすることなく自分一人で道を切り開きたいと第二の人生を模索。人と話すことが好きだったこともあり屋台のラーメン店の起業を思い立ち、同じような屋台の店で修業の後、20年前に独立した。

 「何という気まぐれの人生だが、常連のお客さんもついて何とかやってこられた。でもこの営業も来年6月まで」と胸のうちを明かす。その理由の一つは体力的な問題。もともと火曜と金曜の夜に行っていた江戸川区の南小岩周辺に繰り出さなくなったのも、それが原因だという。

 「特に、環七から小岩に向かうときに通る小岩大橋は横風が強くて、屋台を引くのもままならなくなってきた。だから昨年5月いっぱいで小岩に行くのはやめた。でもその周辺のお客さんからはまだ電話がかかってくる。『今日来ないの?』って。その度に事情を言って謝るのが心苦しくて」

 追い打ちをかけたのが最近の材料の高騰だ。「肉や野菜もそうだが、小麦粉も高くなった。全部さばけた時はいいが、そうじゃなかったら無駄になっちゃう」。来たときと同じ重さの屋台をまた引きずって帰る時の気持ちは「言いようがない」ものがあるという。

 ちなみに常連客の電話番号は登録してある田辺さん。客自ら名乗らなくても誰かわかるようになっている。

 営業時間は水曜・土曜の17~22時。電話番号は090-4416-1636(田辺さん)。電話も営業時間内にかけてほしいという。

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