東京都環境科学研究所内の「東京都気候変動適応センター」が7月28日、葛飾区を中心に東東京で高性能ZEH住宅の設計・建築・販売を行うセイズ(葛飾区立石7)の分譲住宅を視察した。
セイズが採用する断熱材「SW(スーパーウォール)パネル」を説明
同センターは、都内を中心とした地域の気温の実態や気候変動による影響、国内外の適応策の事例を収集・分析し、既に現れ始めている気候変動の影響による被害を回避・軽減するため、都民や事業者に情報提供や助言を行う公的機関。視察には宮田博之センター長ら職員4人が参加した。最高気温が40度に迫る日が続く中、電気料金の上昇を背景に冷房の使用をためらう人がいることが課題となっており、住宅そのものの性能から解決策を探ろうと今回の視察を行った。
視察の対象となったセイズの分譲住宅は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準以上の性能で、太陽光発電システムや蓄電池を設置。全国規模の表彰制度「ハウス・オブ・ザ・イヤー」を通算9回、東京都の表彰制度「東京エコビルダーズアワード」を3年連続で受賞。2024年には、葛飾区と「かつしか省エネ再エネ健康住宅普及促進連絡会(通称=かつエネ)」を立ち上げ、区内の設計事務所や工務店と共に、高性能住宅の普及促進に取り組んでいる。
視察ではセイズの分譲住宅で、外気との温度差や、湿度の状態を体感した。宮田センター長は「断熱や気密によって、エアコンの効きも、光熱費も全く違う。温暖化に向けて、住宅も本当にいいものが選ばれるべき」と感想を話す。
視察後、セイズの及川達也社長が同社の家づくりの考え方を発表。「内装や設備は住んだ後からでも変えられるが、構造や断熱、気密は建てた後には変えられない」として、後から変えられない部分を優先してコストをかける方針を15年前に定めた経緯を説明。断熱と気密の関係については、「どれだけ厚いダウンジャケットを着ても、前を開けたままでは暖かくならない」と例えた。
宮田センター長は「セイズの取り組みは、都内でもトップランナーの事例。自治体と地元の事業者が協働し、活動している『かつエネ』も先進的で見習う点が多い。ぜひこのまま続けてもらい、東京都全体に広げていってほしい」と期待を込めた。
及川社長は「家の性能が低いままでは、どれだけ高効率な冷房機器を入れても使用電力は減らない。行政や研究機関と連携しながら、これからも、猛暑や災害時でも普段に近い暮らしを続けられる住宅を届けていく」と意気込む。